採卵を行うと、受精の準備が整っていない「未熟卵子」が採れる場合があります。刺激方法や体質などにより変化しますが、採卵で取れた卵子のおおよそ15～20％くらいが未熟卵子での回収です。
未熟卵子は受精の準備が出来ていないため、これに対して受精の操作を行っても正常な受精は起こりません。採れた未熟卵子を成熟させるには体外成熟培養(IVM：In Vitro Maturation)を行う必要があります。
IVMを行って成熟した卵子に、顕微授精(ICSI)によって授精操作を行うことで良好な胚を得ることが出来る場合があります。この技術をIVM-ICSIと呼びます。
ただし、本来は成熟卵子で採卵できるようにホルモンの調節が行われているため、未熟卵子で回収された卵子の質は高くない場合が多く、成熟卵子に到達したとしても受精率や胚盤胞期胚への発生率は通常の受精と比較して低率です。そのため、正常受精胚が獲得できている場合には、IVMの結果成熟した卵子があったとしてもIVM-ICSIを行わない場合もあります。

*IVM前提とした未熟卵子回収のための採卵は当院では行っておりません。